平穏に自殺する権利を考える|本人の自由vs周囲の気持ち

投稿者:終末医療学術集会

平穏に自殺する権利を考える|本人の自由vs周囲の気持ち

現代になり、日本人の生き方は少しずつ変わってきています。戦時中は、生きることが非常に重要と考えられており命を粗末にするものではないといった考え方が一般的でした。これは、戦争などで命を失う人が多かったため命の大切さを知ることができたからです。ところが最近は、命の大切さよりもどのように生きるかに関して興味を持っている人が非常に多い傾向にあります。生き方を語る上で避けて通れないのが自殺や安楽死に関する考え方でしょう。

基本的に自殺自体は犯罪ではない

現状の日本の法律では、死ぬ権利は全くないわけではありません。例えば、日本には自殺をする人が1年間に10,000人以上います。これは、80年以上前では考えられなかったことと言えるでしょう。このような時代において、自殺をすること自体に問題があるのか問われるところですが基本的に法律に関しては特に自殺を禁止するようなものはありません。

例えば、誰かが自殺をして未遂で終わってしまった場合それで逮捕されるような事は無いわけです。そこで日本の法律は、人の人生を殺めたり人生や財産に傷つけたりしたときに罰せられるものです。そのため、自ら命を絶つ自由がある意味存在するといっても言い過ぎではありません。これは、裏を返せば生きる自由があるといっても言い過ぎではないでしょう。ただそうは言っても、自殺をする家族のことを考えるとそれを積極的にする勧めることができないはずです。亡くなった人の遺族に関しての気持ちも考えることが重要です。

周辺の気持ちを考えること

自殺に関しては特に法律上罰せられる事はありませんが、日本では自殺自体は否定的に考えられています。確かに自ら命を絶つ人が増えているものの、だからといってそれを積極的に推し進めるような事はまずありません。何故かと言えば、多くの人は家族とつながりがあるからです。

基本的に、家族の1人が自殺した場合一緒に住んでいた家族や一緒に住んでいなかったとしても血のつながりのある人は後ろめたい気分になることが多いです。自分がもう少しその人の悩みを聞いてあげればよかったと後悔をするだけでなく、大きな心の傷として残ってしまいます。少なくとも、時間薬のように時間が経過すれば記憶から抹消されるようなものではありません。また、心の傷が時間とともに消えるわけでもありません。どちらかと言えば、生きている人も後ろめたさを感じるようになり楽しく生きることができなくなってしまいます。中には、ノイローゼになるような家族もいるため前のことを考える場合に自殺をするべきではないでしょう。

周りの人のことが考えられないわけではない

周りの人のことが考えられないわけではない

自殺をする場合、家族がいる場合には確実にその家族に迷惑をかけてしまいます。中には、家族が自殺したから自分も死にたいなどと考える人もおり死は連鎖してしまうものです。これを避けるためには、周りのことを意識することが重要になります。もはやこれ以上生きていても仕方がないと思い込んでしまった人でも、周りのことを意識すればそれも自殺を回避するきっかけの1つになるといっても言い過ぎではありません。

しかし、自殺した人が家族のことを全く意識していないわけではありません。少なくとも、自分の親や兄弟あるいは子供がいる場合そして配偶者がいる場合もそのことをよく考慮するでしょう。

逆に考えすぎた結果、このまま生き続けても周りに迷惑をかけてしまうので終りにしようなどと考える人もいるはずです。この時重要になるのは、家族との話し合いになります。もちろん家族と話し合いをまともにすることができない関係の場合は、後ろめたさから話を切り出すことができないケースもあり解決が難しい問題の1つです。

安楽死に関してはどうなのか

自殺と似た考え方の1つに、安楽死と呼ばれる考え方があります。私とは、自分自身で死にたいと意思表示をしている場合周りの人がその人の命を奪うことです。具体的な場面を見ていくと、医療現場などになります。例えば、肺がんなどにかかった場合にはかなり苦しむことになるでしょう。これから苦しむことになる位ならば、安楽死をした方が良いと決断する人もおりその時安楽死を実行するわけです。

ただ、日本では安楽死自体は合法化されておらずこれをしてしまうと医者が自殺幇助罪と呼ばれるものになります。そのため、知識のある人はまずそのようなことはしないでしょう。法律的なことは横に置いておいても、安楽死を合法化する事に関してはなかなか難しいものがあります。確かに、本人の意思を尊重すると言う意味においては問題ないといえますが、日本人は空気を読む人種と言われているわけです。空気を読み家族のことを意識すると自分は生きていない方が良いと決断し、安楽死を決断します。心の底からこれ以上生きていたくないと考えるのではなく、周りの人のことを考えると生きていても仕方がないと考えているため、本人の意思とは言い切れないわけです。

まとめ

日本には人権と呼ばれるものがありますが、その中に生きる権利がありそして死ぬ権利もあります。基本的に自殺に関しては法律上罰せられる事はありません。しかし、家族のことを考えればあまり積極的に自殺を勧めるべきではないことがわかります。同じようなものに安楽死と呼ばれるものがあり、これは日本では合法化されていません。その理由は、日本人は周りの人のことを考えて周りの迷惑をかけないようにこれ以上生き続けるのはやめようと決断するためです。本当の意味で自分の意志が明確ではないことを考えると、安楽死は合法化することはできません。

著者について

終末医療学術集会 administrator

コメントを残す