がんの終末医療|身体・精神・宗教など様々な観点からのケアの詳細を解説

投稿者:終末医療学術集会

がんの終末医療|身体・精神・宗教など様々な観点からのケアの詳細を解説

がんは多くの人が罹患するようになりましたが、今でも不治の病として知られており、3人に1人はがんがきっかけとなって亡くなっています。がんの場合、終末期になるとひどい痛みが起こりますが、身体的な痛みの他に精神的や社会的な苦痛も味わうことが多いです。そのため医療機関では終末医療に力を入れており、緩和ケアを取り入れるところが多くなりました。終末医療はタブーのように感じますが、がんになった人をどのようにサポートしていくのか、患者本人がよりよく最期を迎えるにはどうしたら良いかを考えていく時代になっています。

終末医療の一つ緩和ケアとは

終末医療の中にある緩和ケアは、実際のところ終末期だけでなくがんにり患した時から始まります。厚生労働省では平成28年12月にがん対策基本法が改正されて、緩和ケアについて定義がされました。厚生労働省の定義では、病気によって伴う心と体の痛みを和らげることと位置付けており、がんと診断された時から行うことを推進しています。
実際がんになった場合、まず不安や落ち込み、そして悲しみなどの精神的な苦痛を感じます。身内に対しての申し訳なさや治療に関しての不安などが次々と訪れるため、自分では気が付かないうちにうつ状態に陥ってしまうこともあります。また終末期になると痛みや倦怠感を感じるようになり、痛みに関してはがん患者の7割は経験します。このようなことを少しでも和らげるために緩和ケアがあり、生活の質を向上させていきます。病院を起点に様々な方法で行われており、うまく連携をしながら進めていくようになっています。

ターミナルケアで行われているアニマルセラピー

ターミナルケアは終末期医療とも言い、末期のがんなど医療の力では直すことが難しい病気を抱えている人に対して行われます。病気を完治させるのが目的ではなく、残された時間を楽しく豊かに過ごすのが目的となっています。
ターミナルケアの一つであるアニマルセラピーは、動物の力を借りて行われるものであり、犬や猫など身近な動物と触れ合うことにより元気を取り戻していくことができます。特に犬とのふれあいは癒しの効果があるとされており、うつ病の改善の可能性もあります。がんになると落ち込む機会が増えるのですが、動物とのふれあいは、その落ち込んだ気分を一瞬でも取り除いてくれることがあり、時間が多ければ多いほど、改善していく可能性が高くなります。
アニマルセラピーは主に医療機関で行われており、出張という形で動物と触れ合うことができます。もちろんすでに飼っているペットでも癒しの効果があり、がんの人の気持ちに自然と寄り添っています。

終末期においても季節行事は重要

宗教もターミナルケアでは大切

緩和病棟に入院した場合、主に体の苦痛を和らげる治療を行っていきますが、同時に心のつらさも和らげていきます。あと何日生きるかわからないという精神状況の中ですが、いつかはそのような事実を受け入れていかなくてはなりません。緩和病棟では季節行事が行われており、最初は参加するのが辛いことが多いのですが、次第に受け入れるようになり、楽しむことができるようになります。
季節の行事は七夕やお祭り、クリスマスやお正月など1年を通じて行われています。七夕は願いを短冊に込めて飾ったり、お祭りは院内で夏祭りのようにミニ屋台を設置し、ちょっとした買い物ができるようになったり、クリスマスではツリーを飾るだけでなくプレゼントをもらったりなど家にいるときと同じことを行います。またそれぞれの行事の中では同時に音楽を聴くなど音楽療法も行われており、心を落ち着かせる治療も行われます。これらの季節行事は家族が招かれることも多く、一緒に同じ時間を共有できる良さがあります。

宗教もターミナルケアでは大切

日本には信仰している宗教の数が多く、人によって信仰しているものが異なります。そのためその人にとってこの考えは良いのだろうかと深く考えてしまいがちですが、ターミナルケアを受けるようになると宗教についてこだわりがなくなり、その分心の支えとなるものとして様々なことを受け入れられるようになります。
ターミナルケアにおいての宗教の位置づけは、これから来る死について受け入れることであり、修行というとらえ方ではありません。終末期の患者が受けた宗教的ケアの結果として、とても役に立ったと答えた人は多く、その中で多かったのが宗教的な音楽を聴く、牧師や僧侶などに会う、礼拝や仏事に参加するが30%を超えました。逆に病院などが発行している宗教的な刊行物はあまり役に立たなかったと答えた人が6割近くを占めており、人との話し合い、触れ合いが効果をもたらすことが分かっています。無理やり押し付けるのではなく、自然な形で受け入れられる環境が大切になります。

まとめ

がんになると終末期は体と心の痛みがひどくなり、自分を見失ってしまうこともあります。できるだけ生活の水準を下げないようにし、心を穏やかにそして体の痛みをなくすために、アニマルセラピーや音楽療法、そして宗教的なケアが行われています。
どの方法も最初から受け入れられるわけではないので自然な形で参加できるのが大切であり、決して無理強いしないことが大切です。考えや行動が押し付けにならないよう注意し、何をその人が求めているのかを探っていくことも必要となります。

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終末医療学術集会 administrator

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