人間は年齢とともに寿命が近づいてきますが、人が亡くなる原因の1つは病死になります。特に40代以降は病気が原因で亡くなる割合が増えていき、30代までに多かった交通事故や自殺による死亡件数を上回ることになります。60代以降は顕著で、病死の割合が死亡原因の7割以上を占めているのが現状です。
一昔前は、終末医療の考え方はあまりありませんでしたが、最近では終末医療を検討している人も増えています。この場合メリットはたくさんあるもののその反面デメリットもあるわけですが、デメリットがあるとすればどのようなことでしょうか。
かつては、病気、加齢、死は本人とその家族、そして、彼らに近しい人たちの問題であり、基本的には私的な領域に属するものであった。しかし現在は、人々の終末に至るまでの人生に医療・福祉のプロフェッションが関わり、人々が、病院、自宅でこれらの人たちに見守られながら死ぬことが通常になっている。
https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/c05.html
終末医療の目的とそのデメリットは
終末医療のデメリットの前に、終末医療とはどのようなものか知っておくことが必要です。1番の特徴は、人生の最後を充実したものにするための医療になります。昔ならば、最後まで入院生活を送り少しでも延命させようと考えている傾向がありました。確かに延命させることは重要であるものの、これから生き続ける可能性がないと分かった段階で、延命処置は患者にとっても家族にとっても苦しみに変わってしまいます。そこで、延命のための治療は行わず、病気による痛みなどを取り除き残りの時間を穏やかに暮らせるような仕組みを整えたわけです。これにより、人間らしい最期を迎える点はメリットといえますが逆にデメリットも考えられなくはありません。
在宅におけるデメリットがあるとすれば、身体的なケアが大変なことです。例えば、終末期患者の中には末期がん患っている人が少なくありません。末期癌を患うと身体中が痛くなるためこれを定期的にケアしなければなりません。一般的には、モルヒネを注射で打つことで痛みを和らげるわけですが、自宅にいるとこれがなかなかできない可能性もあります。少なくとも、専門の医療的な知識を持った看護師や医者が連日のように訪問しなければなりません。
点滴の問題を考えておく
在宅で終末期医療をする場合には、点滴の問題も重要になります。病気によっては、点滴をすることで大きな手術をすることなく最期を迎えることもできます。点滴に関しては、定期的に液体を取り替える必要があります。場合によっては、患者が動いて針が外れてしまうケースもあるでしょう。この時、在宅中の家族が気付けるかどうかはとても重要です。病院の場合であれば、ナースコールのボタンを押せばすぐに看護師さんや医師が駆けつけてくれます。
しかし在宅の場合はたまたま自宅にケアをしに来ている看護師等がいなければ、なかなか気づいてもらえないだけでなく、気が付いても対処できない可能性もあります。酸素マスクをする場合は命に関わるため、継続的に家族がそばにいなければならなくなるでしょう。患者自身が最期は自宅で迎えたいと希望を出していたとしても、医療に関する素人である家族がどこまで対処をすることができるかで在宅で最期を迎えることができるか決まるところです。
専門家は多い反面不満も出る
病院で最期を迎える人は多いですが、最近は少しずつ在宅で最期を迎えたいと考える人が増えてきています。そして実際に、在宅で最期を迎えた人が増加しているのも事実です。病院で終末医療する場合、自宅に帰りたいけどもなかなか変えることができない点に於いてデメリットがあるといえます。もしこれが、絶対に入院をしなければならない状態であれば自宅に帰ることが不可能のため、患者自身も諦めざるを得ないところでしょう。
しかし、緩和ケアなどをしている状態のときには寝たきりの状態よりも行動範囲が広くなります。普通の人よりは制限は受けるものの、ベッドの上に寝たきりの状態ではないため自宅に帰りたいと欲が少なからず出てきてしまい、それが不満の源になります。もちろん病院にいることのメリットはいくつもあるでしょう。医療に関する専門家がたくさんいるため、いざと言う時でもすぐに対応できる事は最大のメリットといえます。ですが、せっかく穏やかに人生の最期を迎えるならばやはりペットなどがいる自宅で過ごしたいと考え、後悔をすることはあるかもしれません。
医療費が高くなりがち
終末期患者の多くは、少なからずお金の事を心配しています。長く入院すればするほど、それだけお金がかかるからです。入院をした状態で終末期を迎える場合、心のどこかでお金の心配をしている人が多くそれが心残りと考えてしまいます。特に家族がいる場合は、家族に負担をかけてしまい申し訳ないと考えるようになり、心苦しくなるかもしれません。この点が、入院をして最期を迎えるときのデメリットといえます。もし可能であれば、お金があまりかからない自宅療養に切り替えたいと思うでしょう。
ある程度自由に行動ができる身分ならば、自宅に帰って金銭的な負担を減らしたいと考えるのも無理はありません。これを乗り越えるためには、体調が急変した場合の対応策を考えておきたいところです。一日中医療機関の人が、自宅に訪れることができる体制が整えられていれば問題ないです。しかし、現実的にはまだそこまで制度が整えられておらず、昼間の時間帯のデイケアのみに限られるでしょう。患者本人にとっても、迷いが生じる場面といえます。
まとめ
終末期医療の段階に入った場合には、在宅で過ごす場合と入院している場合の2つのパターンが考えられます。この点に関しては、メリットだけでなくデメリットがあります。在宅の場合のデメリットは、医療に詳しい人が家に常駐しているわけではないため、いざと言うときに対処できないことが考えられます。
また入院している場合には、金銭的な問題や自宅に帰りたいの欲求などもありそれが不安の源になりがちです。そして在宅と入院のどちらを選んだの良いか迷いが生じて、精神的な負担になることもデメリットになります。